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岩内ひまわり基金法律事務所の齋藤です。

 

 世界的に離婚が増えています。日本でも、離婚するのは、私が生まれたころ(40年くらい前)は、結婚した5組に1組くらいでしたが、今では3組に1組は離婚するという状況です。

 離婚が増える中で、離婚した後は、「子どもとはもう会わない」「養育費も払わない」という親が多いことが問題とされています。子どもの権利を守るために法律を変えるべきではないかとして、「共同親権」という制度を導入することが検討されています。

 「共同親権」とは何なのか、「共同親権」となることで、子どもたちの利益が守られるようになるのか、検討していきます。


第1 共同親権という制度

   法律上、お父さんとお母さんが離婚したとしても、二人とも子どものお父さんとお母

  さんであることに変わりはありません。ただ、離婚したときには、「一方を親権者と定

  める」とされてきました。それで、親権者とされなかった親が、「自分と子どもとはも

  う関係がない!」と思い、子どもの養育にかかわらなくなる恐れがあると考えられたよ

  うです。

   共同親権となると、お父さんとお母さんが離婚したとしても、二人とも子どもに対す

  る親権を失うことはなくなります。ただ、このことには問題もあります。


第2 共同親権となることの影響

   「共同親権」とすべきと考える人たちは、離婚してもお父さんとお母さんの両方に、

  子どもを育てる責任があることが明らかになるから、「子どもとはもう会わない」と

  か、「養育費も払わない」とか、勝手なことをいう親がいなくなるとしています。

   ただ、親権者は、子どものために共同して親権を行使することが求められるので、子

  どもの進路とか、子どもにとって重要なことを決めるとき、離婚した後も、お父さんと

  お母さんは、共同の親権者として話し合うことが必要になると考えられます。離婚した

  お父さんとお母さんが、ちゃんと子どものために話し合うことができるでしょうか。


第3 まとめ

   「共同親権」が認められても、これまでどおりの「単独親権」もなくなりはしないよ

  うです。裁判所は、子どもの利益から、一方の親がDVをしているなど子どもの心身に

  悪影響があるような場合には、他方の親だけの単独親権とするそうです。

   事務所でも家族に関する相談は多いです。社会に合わせて法律を変えていくことが必

  要でしょう。この改正も、お父さんとお母さんが離婚するというとき、お父さんとお母

  さんの気持ちだけが優先され、子どもが蚊帳の外に置かれていることに対処するため、

  子どもの利益のための改正です。

   この「子どもの利益」を第一として、共同親権とするか、単独親権とするか、ちゃん

  と判断されているのか、これから意識してみていきましょう。


 岩内ひまわり基金法律事務所の齋藤です。


 不動産についてのご相談をいただくことがよくあります。今回は、不動産のご質問あれこれについて解説いたします。


第1 誰の建物かわかりません!

   「隣の建物が倒れてきそうです!」「隣の土地が空いているから使いたい!」

  「ただ、誰の建物(土地)かわかりません!」という相談は、よく寄せられます。

   土地や建物が誰のものかわからないときは、まず、法務局でその土地や建物の登記事

  項証明書(登記)を確認します。登記の権利部に所有者として記載されている人が、そ

  の土地や建物の所有者である可能性が高いです。登記は、その内容を確認するだけであ

  れば、インターネットでも可能です。

   ただ、登記の権利部に所有者とされている人に連絡をしようとしても、亡くなってい

  たり、引っ越していたりする場合があります。自分の権利のためと言えるようなとき

  は、弁護士に頼んで住民票や戸籍を調べてもらうことができます。上の例で言えば、

  「隣の建物が倒れてきそうです!」ならいけそうです。ただ、「隣の土地が空いている

  から使いたい!」では、何か権利があるわけではないので難しいです。

   このようなときは、自分で、登記に記載された所有者の住所に行ってみて、近所の人

  に「こんな人いませんか?」と聞いて回るとか地道な方法しかありません。


第2 相続したままほうっておいていいですか?

   相続登記が義務化されました。ただ、自分が相続したことを法務局に届け出れば、し

  ばらくは大丈夫です。相続したらすぐに相続した人の間で、「どのようにわけるか」決

  めることまで義務になったわけではありません。

   ただ、相続した土地(建物)を誰の土地(建物)にするか決めないでおくことは、た

  いへん危険なのでお勧めしません。

   相続人が数人いるとき、相続財産は、その相続人数人の共有(共同での所有)となり

  ます。建物を点検するとか、直すとかは1人でもできます。建物を処分したり変更した

  りする場合、「古くなってきたから壊したい!」「必要ないので売りたい!」という場

  合は、相続人全員の同意が必要です。仲が悪くても、みんな元気で近くにいればまだい

  いです。亡くなった人がいれば、その相続人が共有に加わります。どんどん人が増えま

  す。すべての相続人の所在を調査することが基本ですが、いくら調査しても所在不明の

  人がいるときは、裁判所にその人に代わって判断する人を選んでもらわなければなりま

  せん。認知症とかで判断ができない人についても代わって判断する人を裁判所に選んで

  もらわなければなりません。

   確実に話ができるうち、相続が開始してすぐに、「どのようにわけるか」まで決めて

  書面に残しておくことをお勧めします。


第3 自分の土地なのに人に使わせてあげないといけないの?

   自分の土地は、自由に使うことも処分することもできることが基本です。ただ、他の

  人の使用を認めなければいけない場合もあります。

   例えば、袋地と言われる道路に接していない土地があります。そのような袋地は、そ

  の土地だけでは外に出ることもできないので、その土地に住んでいる人に「一生その土

  地から出てくるな!」とも言えないので、周りの土地の人に「外に出るために通らせて

  ください!」という権利が認められています。ただ、周りの土地の人にとって「損害が

  最も少ないもの」でなければならないとされています。

   この頃、「他人の土地に水道管を通したい!」という相談も受けます。明確な法律の

  規定があるわけではありませんが、裁判所では、袋地の場合と同じで、人の土地に通す

  しか方法がなく、「最も損害の少ない場所及び損害が少ない方法」であれば認めるとい

  う考えのようです。


第4 購入を検討している土地に仮差押えがあります!抵当権があります!買戻特約があり

  ます!

   基本的には、購入する前に、仮差押えも、抵当権も、買戻特約も、消してもらってか

  ら購入するようにしてください。購入してから消すことはたいへんです。

   仮差押えも、抵当権も、買戻特約も、登記に権利を持っている人が記載されていま

  す。その権利を持っている人が「消しても構わない」として協力してくれるのであれば

  消すことができます。ただ、しばらく前の仮差押え、抵当権、買戻特約だと、権利を持

  っている人と連絡がつかないことも多いです。権利の根拠が無くなっているとして裁判

  で消してもらうことも不可能ではありませんが、裁判まで起こさなければいけない可能

  性もあることを考慮してご購入ください。


 岩内ひまわり基金法律事務所の齋藤です。


 「泣き寝入りしかないんですか?」と聞かれることが、たまにあります。私は、法的に権利があるのに、それについて諦める必要はまったくないと思っています。そのため、常日頃どのようなことに気を付けていれば、「泣き寝入り」しないで済むか、解説します。

まず、約束は書面で残しておくことです。あなたにとってどんなに重要な約束でも、相手にとってはそうでもないかも知れません。あなたが、その約束に基づいて、相手に「〇〇してください!」とお願いしても、相手が「覚えてない!」というなら、どうしたらいいでしょう?裁判所に「権利がある」と判断してもらうためには、「私にはこんな権利がある!」と示すための証拠が必要です。この証拠になるのが、書面です。「契約書」などが代表です(なお、書面の題名は重要ではありません。)。「いくら払います」とか「〇〇します」とか書面が残っていれば、裁判所も「あなたにはこんな権利があるんですね!」とよくわかります。

 次に、約束する相手を選ぶことです。「1か月後に100万円返す」という約束をしてもらっても、相手が、日々の食費にも困っているような人で、お金がまったくないのであれば、100万円返してもらうことはできません。裁判所から「100万円払いなさい!」と言ってもらっても無理です。何か約束をする前に、「この人は約束を守れる人かな?」ということは意識して確認してください。

 最後に、頼れる人を見つけておいてください。ここまで「泣き寝入り」しないように、どんなことに気を付けていればよいか説明しましたが、どうしてもトラブルに巻き込まれることはあります。そんなとき、役場の人とか、友達とか、困ったときに相談できる仲間を持っておいてください。事故などに巻き込まれることもあるので、保険も自分を守ることにつながります。「任意保険に入っていないのに、交通事故を起こしてしまった!」とアドバイスが難しい相談をよせられたこともあります。また、どんなことでも気軽に相談できる弁護士などの専門家を、私でなくてもいいので、見つけておけば、日常的に困ったとき、安心できると思います。


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